日本酒度と酒の甘辛:その2

2010年10月29日

 2.日本酒度って?

 日本酒のラベルには日本酒度という数値が明記されています。
 これは、4℃の蒸留水を基準値=0として、15℃の日本酒の比重を表したものです。

 通常の比重は上記の水の密度を基準=1として固体や液体の密度を表したもので、
 水より軽い(水に浮く)ものは、0.79のように小数点以下の数値になり、
 逆に重い(沈む)ものは、1.59のように1より大きな値になります。

 日本酒度の方は、基準値が0日本酒度計を用いて測ります。
 これは浮き秤の一種で、比重が大きいと浮きが浮くのでマイナスの値を示し、
 逆に小さいと沈んでプラスを示します。
 (海水は真水より比重が大きいので浮きやすいことをイメージして下さい。)

 比重の大きさは、 アルコール<水<糖分 なので、

 発酵初期の段階では未分解の糖分が多く、日本酒度はマイナスを示します。
 そして、発酵が進むとアルコールが増えプラスに転じます。

 ですから、日本酒度がマイナスだと糖分が多いことになり、プラスだと少ない

 それで、日本酒度-4・・・う~ん甘口だな。
            
            +9・・・ほ~う辛口だ。

 と、考える方もいる訳です。

 ところが、あまり知られていませんが日本酒には甘辛度というものが存在します。

 計算式は 
       0.86×ブドウ糖濃度-1.16×酸度-1.31 です。

 ブドウ糖濃度の変わりに日本酒度を用いることも可能です。
 ここで重要なことは
 
 日本酒が甘く感じられるかどうかは酸度の影響があるということです。

 酸度が低いと甘辛度はプラスになり甘く感じます。逆に
 高いと甘辛度はマイナスになり、甘さを感じにくくなる=辛く感じるのです。

 また、甘みは香り温度にも影響されます。甘い香りがすれば味覚も甘みを感知
 しますし、温度も低い温度よりも35℃位が強く甘みを感じます。

 上原浩氏はその著書にて、「日本酒度とは、純米酒においては甘辛を示すものでは
 なく、重・軽を見る指標だと考える方が当たっている。糖分を十分に発酵させた日本
 酒度の高い純米酒は、辛いのではなく飲み口が軽くなるのである。
」と述べています。

 飲み口が軽いというのは、ベタベタした感じや舌にいつまでも酒の味が残る感じが
 しない状態、すなわち酒がすぅっと切れていく感じを想像して下さい。

 日本酒度とは酒の比重を示す数値であり、純米酒においてはどの程度まで発酵させ
 たのかを示す指標だと理解して下さい。

 酒が甘いか辛いのかは実際呑んでみないと判りませんし、正直なところきちんと造った
 日本酒はみな、心地よい甘みが感じられます。それが強いか弱いかだけの違いでしか
 ないと思います。

 その3に続く・・・

  
 



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