日本酒度と酒の甘辛:その1

浜太郎

2010年10月25日 04:49

 1.甘口・辛口とは?

 「このお酒は甘口ですか?辛口ですか?
 と、尋ねられることがあります。

 私にとっては大変、返答に困る問いかけでして、しばらく考え込んでしまいます。

 普段呑んでいる酒で、甘みを感じられないものはありませんし、また「辛口」と
 いうのが当然「しょっぱさ」や「香辛料の辛さ」を指すものではなく、高発酵・高ア
 ルコール濃度
から来る、アルコールの刺激とキリっとした味切れの良い状態
 ことを表現していると思うのですが、酒を呑んでいて「う~ん辛い」と思ったことが
 無いのです。

 まあ、三倍増醸酒への反動から80年代に起こった「淡麗・辛口ブーム」以降、
 
 安い酒:甘くてベタベタしている不味い

 新潟の地酒:甘くなくスっとした口当たり飲みやすい

 といったイメージが浸透して「辛口」=(大手の安酒じゃない)うまい酒だと考える人
 が増えた結果が冒頭の質問だと思います。

 確かに、大量にアル添された酒はベタベタ甘い味がして重くそして味切れが悪く
 酷いものばかりです。

 デンプン→(麹)⇒ブドウ糖→(酵母)⇒アルコール・炭酸ガス(日本酒の発酵の流れ)

 (酒の量を増やして価格を安くするために)大量の醸造アルコール(蒸留酒)を
 添加する場合、酵母による発酵(ブドウ糖を分解してアルコールと炭酸ガスに
 変える働き)を早めに止めてしまうそうです。すると、酒の中に未分解の糖分が
 大量に残ることになり、結果としてベタベタとした重たい味の酒が出来上がる
 のです。

 そんな酒を飲んだら、甘い酒=不味い、という評価になるのも当然です。

 個人的には少量でもアル添した酒は蒸留酒が混ざっているので、もう醸造酒(日本酒・
 ビール・ワインなど)ではなく、日本酒に分類するのは止めるべきだと思っています。
 ビールと発泡酒のようにカテゴリーを分けたほうが、「日本酒は飲みにくい酒だ
 「燗酒は足に来る」といったイメージも払拭出来ると思います。 

 その2に続く・・・ 

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