日本酒度と酒の甘辛:その1
1.甘口・辛口とは?
「
このお酒は甘口ですか?辛口ですか?」
と、尋ねられることがあります。
私にとっては大変、返答に困る問いかけでして、しばらく考え込んでしまいます。
普段呑んでいる酒で、甘みを感じられないものはありませんし、また「
辛口」と
いうのが当然「しょっぱさ」や「香辛料の辛さ」を指すものではなく、
高発酵・高ア
ルコール濃度から来る、
アルコールの刺激とキリっとした味切れの良い状態の
ことを表現していると思うのですが、酒を呑んでいて「う~ん辛い」と思ったことが
無いのです。
まあ、
三倍増醸酒への反動から80年代に起こった「
淡麗・辛口ブーム」以降、
安い酒:
甘くてベタベタしている=
不味い
新潟の地酒:
甘くなくスっとした口当たり=
飲みやすい
といったイメージが浸透して「
辛口」=(大手の安酒じゃない)うまい酒だと考える人
が増えた結果が冒頭の質問だと思います。
確かに、大量に
アル添された酒は
ベタベタと
甘い味がして
重くそして
味切れが悪く
酷いものばかりです。
デンプン→(麹)⇒
ブドウ糖→(酵母)⇒
アルコール・炭酸ガス
(日本酒の発酵の流れ)
(酒の量を増やして価格を安くするために)大量の
醸造アルコール(蒸留酒)を
添加する場合、酵母による
発酵(ブドウ糖を分解して
アルコールと炭酸ガスに
変える働き)を早めに止めてしまうそうです。すると、酒の中に未分解の糖分が
大量に残ることになり、結果として
ベタベタとした重たい味の酒が出来上がる
のです。
そんな酒を飲んだら、
甘い酒=不味い、という評価になるのも当然です。
個人的には少量でも
アル添した酒は
蒸留酒が混ざっているので、もう
醸造酒(日本酒・
ビール・ワインなど)ではなく、日本酒に分類するのは止めるべきだと思っています。
ビールと発泡酒のようにカテゴリーを分けたほうが、「
日本酒は飲みにくい酒だ」
「
燗酒は足に来る」といったイメージも払拭出来ると思います。
その2に続く・・・
関連記事