番外編:カニと彼女と十旭日:後編

浜太郎

2010年03月21日 19:30

 3月13日(土)に15日(月)発送、17日(水)着を目論んで注文しましたら
15日に業者さんからドンピシャの発送通知がとどきました。

そして17日、

私:「夕方にはカニが届くはずだから、Kさんが来たら先に始めててね。酒は『秋鹿
  能勢の棚田 純米吟醸
』を飲んでてね」
妻:「は~い。カニだけじゃあ寂しいから、簡単な鍋も用意しとくね
私:「紅ズワイは明日、チャーハンに使うから半分は残しといてね。」
妻:「はいよ~

といった、やりとりを交わして仕事に出かけたのでした。

・・・帰宅して玄関のドアを開けようとすると、鍵がかかっています。「?」
あれ、Kさんは来ていないのかしら?と思いつつ開錠してドアを開けますと
Kさんの靴があります。なあんだ来てるんじゃないですか、「ただいま!」

・・・・・おかえり、の返事がありません。代わりにカニの臭いが漂ってきます。
リビングに参りますと無言でカニを貪る女二人

私:「ただいま!」
二人:「あっ!おかえり~
私:「どうっすか?カニのお味は?」
Kさん:「旨いっす・・・」(二人とも言葉が少ない)
私:「返事が無いから、いないのかと思ったよ」
妻:「忙しくってつい、無口になっちゃうのよ。カニは
 
戻り海老蔵だったくせに、何無言でカニを喰ッとるんじゃぁ~
 by心の叫び

私も着替えて、さてカニを・・・と思ったのですが、

妻:「おか~ん」(燗をつけろという妻の要求です)
私:「はい、はい」 

薬缶に水をいれて「能勢の棚田」をぬる燗に。3日前の口開けなのでいい感じで
開いており、ほのかな吟香が広がり、口当たりは柔らかくそれでいて旨味はキッ
チリでています。酸味は純米の秋鹿ほど強くなく、カニとの愛称は悪くありません。

Kさん:「甘いです~
私:「酸味が純米原酒ほど強くないし、旨味があるからそう感じるかもしれません」
Kさん:「ひやよりも燗のほうが美味しいですね
私:「Kさんは前飲んだ純米原酒とこれとではどっちが好みですか?」
Kさん:「私は前のものが好きです

そこで、島根県出雲の「十旭日 純米 五百万石」(20BY)を取り出して開栓。
まずはひやで一口、五百万石らしい落ち着いた香り、そしてほんのりと熟成香が
広がります。酸は強くなく軽いのみ口で、どんな食事にも合いそうです。
上燗(45℃)を少し冷まして呑みますと、今度はハッキリと熟成香が感じられ
そして、旨味が口中に広がり後にすぅっとキレていきます。

私:「旨い!」
Kさん:「おいし~い!」(目がキラキラしています)
私:「タイプですか?」
Kさん:「はい、優しいけど味があって美味しい!」(ようやく、カニを食べる手が止まりました)

私も座ってカニを頂きます。1年ぶりのカニはやっぱり素晴らしく口の中が幸せで一杯に
なります。

妻:「カニミソmyハニーも美味しいわよ!」(旨味中毒の妻は戻り海老蔵になってもカニミソ
  だけは愛していてこう呼びます)

スプーンですくって一口嘗めると・・・うひゃひゃひゃひゃ・・・という旨さです。
そして、十旭日を一口含むと、旨さ倍増そして口の中がサッパリして、エンドレスでいけ
そうです。二杯目はさらにミソがたっぷりでニンマリ。Kさんは足の付け根の部分が大好き
だというのでその部分はカットしてKさんに進呈。

Kさん:「ここ(足の付け根)は身がプリっとして最高なんすよ!ミソもついてんまー
私:「僕は足の部分が好きなんで、うまく共存できますね」

突然、バキッという音と共に細かいカニの身が飛び散ります。

私:「ヒッ!
Kさん:「ごめんなさい。」(彼女の服はカニのクズまみれです)
妻:「ひゃははははは。さっきから時々飛び散るの。下でGOO(猫)が大忙しよ

我が家の愛猫が床に飛び散ったカニを必死で拾い食いしています。

私:「紅ズワイでカニチャーハンか蟹玉ができますけど、いきますか?」
Kさん:「はい!
私:「どっちにしますか?」
Kさん:「う~ん、蟹玉がいいです。
私:「了解!でも、殻を剥いてくださいね。あと、雑炊もいきますか?」
Kさん「は~い
妻:「んじゃ、あたしが殻で出汁を取るわね

Kさんは、紅ズワイの殻を手際よく剥いていきます。「紅ズワイは身が柔らかいですね
妻:「貴方が帰ってくる前、Kさん面白かったのよ

(2時間前の回想)
 鍋の食材とビールその他を買ってKさんがやって来た。

 Kさん:「きゃー、カニ・カニ・カニー」(いつもはわりと静かに訪れるのだが大興奮)
 妻:「最初は紅ズワイからいけって言ってたよ
 Kさん:「じゃあ、私がさばきます」(さすが、カニ好き。さばき方も手際が良かったようです)
 妻:「では、あたしは鍋の準備するね

 二人で紅ズワイの半身を食べた後、次はいよいよ松葉がに(ズワイ)へ

 Kさん:「すごっ、重っ。M子さ~ん、重いですよ紅ズワイと重さが違~う
      「へへへ、楽しみですね!」(ニコニコしながら解体作業へ、そして)
 妻:「うわっ、旨!甘!やっぱ全然違うわ
 Kさん:「おいひ~よ~。おいひ~。ミソもおいひ~。

(それから、私が帰ってくるまで酒もあまり飲まずに黙って食していたのです)

その後、妻がカニ殻から取った出汁を使って、蟹玉雑炊そして甲羅酒(Kさんは
初体験でしたが高評価でした)と堪能して宴は終了しました。

「カニの許容量はイッパイになったんじゃなかったの?」と満足げな妻に問うと
ごめ~ん、勘違いだったみたい。カニに限界は無いのかも」そうですよね。

Kさんのカニ好きは相当なもので、多分一人で1kgくらいは食えるのではないかと
思いました。(私の中では、「カニきち三平」と命名)新たなカニ仲間が誕生して、
来年が楽しみです。カニ代も全部Kさん持ちでご馳走になりました。





 

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