日本酒度と酒の甘辛:その3

2010年11月09日

 3.利き酒について

 私はこのブログを始めるにあたって、必ず酒を利くことを自らに義務付けています。
 燗をつけた時の温度帯による変化や常温熟成による変化を見るためです。

 利き酒のプロが行うような本格的なものではありませんが、その方法を記します。

 まず、内側が白い湯呑みに酒を注ぎ

 1.酒の色を見ます

   活性炭濾過を行っていない酒は、ほんのりと色が付いています。そして、熟成が進
   むとその色が濃く変わっていきます。ほとんど色が付いていない酒は雑味や異臭
   を取り除くために活性炭濾過で誤魔化している可能性があります。

 2.湯飲みに口をつけ息を吸って香り(上立香)を嗅ぎます

   この時に、悪い酒は変な臭いがします。また、常温熟成が失敗した場合や熟成が
   進み過ぎた時には老ね香と呼ばれる嫌な臭いがします。
   
   また吟醸酒では果物のような甘い香りがします。ほんのり香る程度なら良いのです
   がキツイと食事が進まなくなります。

 次に、酒を少量口に含みます。

 3.舌全体で酒の味をみます

   甘み・酸味・旨味・酒の濃さ・アルコールの棘(辛さ)などを意識して口の中でゆっく
   りと舌を動かします


 4.酒を口に含んだ状態で鼻から息を吐きます。

   含み香と呼ばれるもので、熟成された酒はこの時に様々な香りがします。
   また、2.の時点では感じられなくても熟成に失敗した時はこの時点で良くない香り
   がします。

 5.酒を呑みこみ喉越し、余韻をみる

   喉にすっと落ちていくのか、また口の中にどの程度味やアルコールの棘(辛さ)が
   残るかをチェック
します。私は旨味や酸味が強い酒が好きなのですが、いつまでも
   口の中にそれらが残る酒は、重たい・ベタベタする・味切れが悪い、と表現します。


 ざっと上記のような感じです。なぜこんなことを書いたのかというと、私は日本酒におい
 ては甘口・辛口という区分はさして重要ではないと考えているからです。

 一番重要だと考えているのは、「どんな料理に合うのか」という一点です。

 きちんと醸されていること・美味しいと感じられることは当たり前として、日本酒は料理を
 ひきたてる最高の酒
だと思っています。
 
 ですから、旨味や酸の強さ、熟成の具合によって、魚卵に合う酒、生の貝類に合う酒、
 白身の刺身に合う酒、味噌煮に合う酒・・・等、
 クセがあったり、また繊細な料理にも必ずマッチするものがあり尚且つお互いに旨さを
 強調しあえる
のです。

 しかし、沖縄で日本酒を提供している飲食店のほとんどは「この酒は旨味が強く、でも
 味切れは良いので貝の刺身にピッタリですよ
」などと酒を勧めてはくれません。

 メニューに日本酒度-2:甘口、+4辛口、+9大辛口と表記してあるか、「あ、これは
 甘口だよ。それは辛口で飲みやすいね
」と答えてくれる程度です。

 料理のプロがすべて日本酒に精通していなければいけないというのは暴論ですが、
 自分の店で提供する酒の説明くらいはして欲しいと思っています。

 ちょっとグチっぽくなってしましたガ-ン

 近年、まじめに素晴らしい酒を造る蔵が増え淡麗辛口だけじゃない沢山の旨い酒
 登場しています。ですから酒を甘・辛だけで選ぶのではなく

 「今日はこの酒と一緒に何を食べようか?

 と思える酒を選択の基準にしてみてはいかがでしょうか。

 

   

 

 



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